業者選びで保証やアフターフォローの有無は重要な判断基準となります。
外壁塗装は、施工直後は綺麗に見えるため、施工に不備があったかどうかはすぐにはわかりません。施工不備の初期症状は、塗装してから半年~3年後に現れます。そのため、保証やアフターフォローがある業者を選ぶことで、被害が拡大する前に対応してもらうことができます。また、「塗装をして終わり。」という姿勢ではなく、塗装への強い責任感も見えます。
保証を付ける際に注意すべきことは保証内容の項目です。しっかりと内容を確認をしないと、実際に不具合が起こった場合に対応してもらえず、「話と違う!」というケースがおこりかねません。そのため、契約前には口頭ではなく、しっかりと書面を通して保証内容の提示と確認をしてもらいましょう。
■ 契約前に確認すべき保証内容の例
・保証する会社
・保証期間
・保証の範囲(外壁、屋根、付帯部など)
・保証の対象となる劣化(塗膜の剥がれ、ひび割れ、色あせ、変色、膨れなど)
・免責事項
保証は、施工業者が保証が発行するものと、塗料メーカーが発行する保証、第3者機関による保証(保険)などがあります。保証内容も様々なので、契約する前にしっかりと内容を確認することをオススメします。
施工に不備があった場合、自社で補修する保証です。最近では、多くの業者が自社保証をつけていますが、まだ自社保証がない業者もいるのでしっかりと確認しましょう。また、業者独自の保証なので、内容は業者ごとに異なるので注意が必要です。
塗料自体に不具合があり劣化が起こった場合が対象になる保証です。ですが、施工後数年で発生する劣化は、たいてい施工の不備が原因なので、メーカー保証が利用されるケースはあまりありません。そのため、メーカー保証の期間が長いことに越したことはありませんが、そこまで注視することはありません。
保険会社や施工業者が加盟している塗装団体などから受けられる保証です。万が一施工業者が倒産した場合でも、保険会社や塗装団体が保証してくれます。自社保証やメーカー保証と違い、保証をつけるためには手数料が発生し、支払いは施主様に請求されます。
■塗装団体、加盟団体
施工業者が加盟している団体から発行される保証です。施工完了後に団体の職員がきて検査を行うことで保証が発行されます。
団体、組合例:
建築産業専門団体連合会(建専連)
一般社団法人 日本塗装工業会
全国マスチック事業協同組合連合会
東京都塗装工業協同組合など
■瑕疵保険
施工業者が瑕疵保険会社に登録している場合に、施主様の任意で加入することができる保険です。瑕疵とは、施工後に約束される性能と品質が発揮されないことを表します。瑕疵保険に加入した場合、施工完了後に保険会社の担当者が訪れ施工の状態を確認してくれるので安心です。
瑕疵保険の会社に登録するには審査が必要になります。そのため、瑕疵保険に登録している業者は社会的信用度があり、少なからず手抜きをする業者ではないことが証明されます。
保険名 | 会社名 |
あんしんリフォーム工事瑕疵保険 | 株式会社住宅あんしん保証 |
まもりすまいリフォーム保険 | 住宅保証機構株式会社 |
JIOリフォームかし保険 | 株式会社日本住宅保証検査機構 |
一般リフォーム保険 | 株式会社ハウスジーメン |
リフォーム瑕疵保険 | ハウスプラス住宅保証株式会社 |
自社保証の期間は、塗料のグレードと施工部位でそれぞれ異なります。また、屋根や付帯部は外壁と比べ劣化が早いので、外壁よりも低い保証年数で設定されます。
グレード別、施工箇所別の保証期間一覧表
グレード | 耐久年数 | 保証期間(外壁) | 保証期間(屋根) | 保証期間(付帯部) |
アクリル | 5年~7年 | 1年~3年 | 1年~3年 | - |
ウレタン | 8年~10年 | 3年~5年 | 2年~4年 | 2年 |
シリコン | 10年~15年 | 5年~7年 | 3年~5年 | 2年 |
ラジカル | 12年~15年 | 5年~7年 | 3年~5年 | 2年 |
フッ素 | 15年~20年 | 7年~10年 | 5年~7年 | 2年~3年 |
光触媒 | 15年~20年 | 7年~10年 | - | - |
無機 | 20年~25年 | 7年~10年 | 7年~10年 | - |
その他の施工箇所保証期間
施工内容 | 保証期間 |
シーリング工事 | 1年~5年 |
防水工事 | 5年~10年 |
付帯部以外の木部と鉄部 | 1年~5年 |
カバー工法、張り替え(外壁、屋根) | 10年~15年 |
自社保証の期間が塗料の期待耐久年数と同じ場合は注意が必要です。
塗料の期待耐久年数は、絶対に記載年数劣化しないということではありません。立地条件や天候状況で劣化が早まる可能性があります。もし、業者が塗料の耐久年数と同期間の保証を付けてしまうと、業者は確実に無償で塗り替えをしなくてはならなくなり、結果赤字になってしまいます。そのため、保証期間は、塗料の耐久年数より低く設定されています。
もし、長い保証を付けてくる業者がいれば、その保証は保証対象が限定的すぎて、実際には保証に応じない可能性があります。または、長い保証期間を売りに契約し、数年後に計画倒産する可能性もあります。
外壁塗装では、外壁の塗装以外に、屋根と付帯部(木部、鉄部)の塗装、窯業系サイディングの場合はコーキングの補修もおこないます。この場合に注意すべきことは、施工したもの全てが保証の対象になるのかです。保証書の保証対象が「外壁の剥がれ」のみの場合では、屋根や付帯部、コーキングの剥がれは対応してもらえません。
そのため、保証内容を確認する際は、施工箇所別に保証がつくのか業者に確認することをオススメします。
※注意!
アルミなど塗装をしてもすぐに剥がれやすいと言われる素材には、保証が付かない場合があります。
一般的に保証の対象になる劣化は、塗膜の剥がれ、塗膜の膨れ、著しい変色・退色の3つです。会社ごとに保証内容は異なるので、どういう劣化が保証の対象になるのか、またはならないのかを業者に質問しハッキリとさせましょう。
また、上記の劣化が起こった場合でも、劣化原因により保証の対象にならない場合があるので注意が必要です。
・地震や台風、落雷などの自然災害で発生した劣化。
・火災、爆発、飛来物などの不可抗力で発生した劣化。
・施主様の不適切な作業で発生した劣化。(外壁にはつかえないような洗剤を使ったなど)
・施工中に施主様の強い指示が原因で発生した劣化。
・ネズミや虫などの害虫による被害で発生した劣化。
・建物の構造自体が問題で発生した劣化。
・保証期間内に他業者(増築、改築など)がおこなった施工で発生した劣化。
クラックの発生は保証の対象にならないことが多いです。 クラックの発生は、塗装時の施工不備が原因なのか、建物自体に元から原因があるのか、または自然災害で発生したクラックなのかなど、発生原因をハッキリさせることが非常に困難なためです。
外壁塗装のアフターフォローの内容は、主に数年ごとの定期点検です。定期点検をすることで、プロでしかわからないような劣化や、普段点検するには難しい屋根の状態などを見てもらうことができます。定期点検の頻度は業者によって異なりますが、塗装から1年後、3年後、5年後と間隔をあけて点検してくれます。点検中に何らかの施工不備があった場合は速やかに対応してくれるため、被害の拡大を抑えることができます。