HOME > 塗料の特徴 > 塗料の細かな特徴の違い

■目次
水性と油性(溶剤)の違い
 -水性塗料の特徴
 -油性塗料(強溶剤、弱溶剤)の特徴
 -水性か油性か確認する方法
 -水性塗料の上に油性塗料は塗れるか?

1液と2液の違い
 -1液タイプの特徴
 -2液タイプの特徴
 -可使時間(ポットライフ):塗装に使用できるまでの時間
 -1液か2液か確認する方法

塗料の伸縮性(弾力)
 -弾性塗料と硬質塗料
 -弾性塗料はモルタル〇、サイディング×
 -弾性塗料の塗装工法

塗料の乾燥時間

水性と油性(溶剤)の違い

塗料は水性塗料と油性(溶剤)塗料のどちらかに分類されます。大きな違いは、臭いの強さと密着度の高さです。

水性塗料の特徴

水性塗料の特徴は、臭いの少なさです。水で塗料を希釈するので、シンナー臭は油性塗料と比べるとあまりしません。そのため、小さな子供や近隣への配慮を考慮する場合は水性塗料がオススメです。

油性塗料(強溶剤、弱溶剤)の特徴

油性塗料の特徴は、密着度の高さです。シンナーで希釈するので密着性に優れ、水性塗料よりも幅広い被塗物に対応できます。 油性塗料は、その中でも強溶剤と弱溶剤に分けられます。

強溶剤は、弱溶剤より性能が高く、また臭いも強いです。弱溶剤は強溶剤より臭いは少ないですが、性能では劣ります。最近では、臭いを抑え、密着性・耐久性も維持した弱溶剤タイプが主流です。 施工中の臭いを気にする人は水性塗料、塗膜の耐久性を重視する人は油性塗料がオススメです。

  水性塗料 油性塗料
金額 普通 高い
耐久性(密着度、対候性) 普通 高い
臭い 少ない 強い
弱い 強い
特徴 ・乾燥時間が気温に左右されやすい
・塗膜を形成する際に気温が低いと塗膜が凍る可能性がある。
・下地の状態が良ければ下塗りなしで塗装できる場合がある。(塗装箇所による)
・水性塗料より艶感が出しやすいため、汚れがつきにくい。


水性か油性か確認する方法

塗料パンフレットの「塗装標準仕様」欄の希釈方法に「水」の記載があれば水性塗料、「塗料用シンナー」などの記載があった場合は油性塗料です。


水性塗料の上に油性塗料は塗れるか?

使用する塗料によっては、水性塗料(下塗り)の上に油性塗料(中上塗り)を塗っても問題はありません。同様に、油性塗料(下塗り)の上に水性塗料(中上塗り)を塗った場合も同様です。これらの条件は、塗料パンフレットの「塗装標準仕様」の欄に記載があります。

例:下記の塗料は下塗りに水性塗料を使用し、上塗り材に油性塗料を使用していることがわかります


1液と2液の違い

1液タイプの特徴

1液タイプは、主材と希釈剤(水orシンナー)を撹拌してから使用できる塗料です。2液タイプと違い、硬化剤の分量を計測する必要もなく、また撹拌不足による塗料不備などの弊害も生じません。

2液タイプの特徴

2液タイプは、主材と硬化剤と希釈剤(水orシンナー)を撹拌してから使用できる塗料です。そのため、最初から硬化剤が含まれている1液タイプより、使用する直前に硬化剤を混ぜ合わせる2液タイプの方が高い耐久性を発揮できます。ですが、※可使時間が限られているため保存ができず、天候が優れない日の塗装は、その日に使う分の塗料だけを混ぜ合わせるなどの手間がかかります。

可使時間(ポットライフ):塗装に使用できるまでの時間

  水性塗料 油性塗料
混合物 主材+希釈剤(水orシンナー) 主材+硬化剤+希釈剤(水orシンナー)
施工金額 安い 高い
耐久性 普通 高い
可使時間 なし あり

1液か2液か確認する方法

塗料パンフレットの一般名称に1液か2液の記載があります。


塗料の伸縮性(弾力)

弾性塗料と硬質塗料

塗料にはそれぞれ伸縮性(弾力)があるタイプとないタイプに分けられます。塗膜が伸縮する塗料は、弾性塗料と呼ばれます。クラックで生じた隙間を、塗膜が伸縮することによって、隙間を塞ぎ、建物内部への水の侵入を防ぐことができます。一般的な塗料は伸縮性がないので、硬質塗料と呼ばれます。近年では、弾性塗料と硬質塗料の間に位置する微弾性塗料が主流になっています

種類 特徴
弾性塗料 ・塗膜の伸縮率が120%以上の塗料(気温20度の場合)
・塗装する工法によっては、10年以上の伸縮性が期待できる
微弾性塗料 ・少し伸縮性がある塗料。(50%~100%)
・3~5年で伸縮機能は低下する
硬質塗料 ・塗膜が伸縮しない一般的な塗料
・ひび割れなどに弱いが、塗膜が膨れることはない

弾性塗料はモルタル〇、サイディング×

弾性塗料は、主にモルタル外壁に使用されます。ひび割れが起こりやすいモルタル外壁に弾性塗料を塗布することで、外的振動を伸縮性の高い塗膜で吸収し、ひび割れを抑えます。また、ひび割れができてしまった際は、そのひび割れを覆うように塗膜が伸び、水の侵入を防いでくれます。

弾性塗料が塗装できない外壁材はサイディングです。サイディングは、モルタル外壁よりも熱を溜めやすい性質があるため、弾性塗料を塗装すると塗膜内部へと熱を放出し、塗膜が膨らむ原因になります。そのため、※基本的にサイディング外壁へ弾性塗料は使用しません。アステックペイントなどの例外の塗料あり

弾性塗料の塗装工法

弾性塗料は、塗装工法(仕上げ方)によって伸縮性の耐久年数は異なります。

複層弾性仕上げ

下塗り1回、中塗り2回、上塗り2回と5つの層を重ねる塗装工法です。中塗り材に伸縮性や防水性に富んだ弾性塗料を使用し、上塗り材には耐候性や美観性を考慮した塗料を使用します。工程数の多さから材料費と人件費がかさみ、施工金額は3つの工法の中で一番高くなります。ですが、弾性塗料の伸縮性能が長期的に期待できる工法です。

単層弾性仕上げ

下塗り1回、中上塗りを1回ずつ塗装する3回塗りの工法です。下塗り材にはシーラーか微弾性フィラーを使用します。微弾性フィラーはひび割れ内部に刷り込むことで、ヘアークラックを埋めることができるため、下地処理作業の手間が減ります。クラック発生率の低い建物は、この工法を使用することが多いです。

弾性塗料の例

塗料メーカー 塗料名
日本ペイント DANフレッシュ
DANシリコンセラ
関西ペイント アレス水性弾性シリコン
セラMシリコン(※弾性硬化剤を混ぜた場合)
エスケー化研  セラミクリーン
レナフレンド
ダイフレックス ダイヤダンセイRE
カイテキウォール(RG・SG)
ロックペイント 弾ビニシリコンⅡ
スズカファイン セラビューレ
アステックペイント EC-5000PCM


塗料の乾燥時間

塗料の乾燥時間は、3時間~6時間ほどが目安となります。ですが、塗装する時期や気温、天気の気象状況や、1液か2液、水性か油性などの塗料の種類、建物の立地条件、劣化具合により異なります。

そのため、天候などの条件が合えば、下塗りを午前中に行い、午後から中塗りを行う場合もあります。




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