見積書は業者を比較する上で重要な資料になりますが、業者によって塗装項目の表記や記載方法が異なるため内容は統一されていません。また、塗装面積、仮設工事面積などの数量は業者ごとに計算方法や解釈が違うこともあり、多少の誤差があります。塗料単価も業者によって異なるため、施工金額だけでその業者が優良な業者かどうかを判断するのは困難です。
そのため、見積書では、金額ではなくそれ以外の項目で業者の質を判断・比較することが必要になります。そこで、見積書の中でチェックすべき項目を下記にまとめました。
仮設足場は、建物から約0.5mほど離して周囲に組みます。また、屋根の塗装もする場合は、外壁より1m高く組みます。そのため、一般的な見積書では、仮設工事の数量は外壁の数量より大きい数値になります。
仮設工事と外壁の数量が同じになっている場合は、施工箇所が原因でなっているのか、または業者側がしっかりと計算していないかのどちらかの可能性が高いです。
一式という表記は、付帯部や外壁1部分の塗装など、塗装する部分が少ない場合に使用されます。外壁屋根を全て塗装する場合に一式という表記をする場合は、計算するのが面倒だったり、何か隠し事がある可能性があります。そのため、外壁屋根の数量や単価の記載がなく、一式と記載されている場合は、しっかりと業者に内訳を聞きましょう。
一般的な見積書では、施工箇所ごとに使用する塗料名が記載されています。もしくは、1液や2液、油性(溶剤)水性など塗料の成分が記載がされています。見積書にシリコン系塗料など、グレードしか示されていない場合は、シリコンの中でも耐久年数の低い塗料を使用する可能性があるので注意が必要です。
一般的な外壁塗装では、下塗り、中塗り、上塗りの合計3回塗りをします。そのため、見積書も3つ項目が記載されています。(中塗り上塗りは同じ塗料を使用することが多いので、省略されて「下塗り、中上塗り」と記載をする業者もいます。)
塗装回数が記載されていない業者も3回塗るする場合も考えられますが、施主様が見てわかりづらい内容の見積書は、業者本位で施工をおこなう可能性が高いので注意しましょう。
下地処理とは、クラックの補修や鉄部木部のケレン、目荒らしなどです。これらの作業は、下地処理という項目に作業が全て含まれる場合もありますが、優良な業者だと施工箇所別に細かく記載してあります。
下地処理の項目がない見積書でも実際には下地処理する場合もあります。そのため、下地処理の項目がない場合は、業者に下地処理をするのか、またどんな処理をするのか質問してみましょう。
コーキングとは、サイディングボードやALC外壁の目地部分とサッシ廻りに見られるゴム材のことです。これらは、外壁塗装をする際に補修します。補修方法は、打ち替えと打ち増しの2通りです。 一般的な見積書には、打ち替えをするのか打ち増しをするのか記載があります。また、打ち替えは目地部分に行い、打ち増しはサッシ廻りにおこなうことが多いです。
下記の項目が見積書に記載されている場合は、一般的な見積書よりも丁寧に作成されているので、優良業者の可能性が高いです。
・使用塗料の缶数が書いてある。
・人工数(作業人数)が書いてある。
・付帯部ごとの塗装面積や施工方法を細かく記載している。
・付帯部に使用する塗料の名前が書いてある。
この中でも、付帯部の内容を詳しく書いてある業者は親切な業者です。
多くの見積書では、付帯部に使用する塗料の記載は塗料名ではなく「2液溶剤ウレタン」などの塗料の成分とグレードが記載されている場合が多いです。「ウレタン」や「シリコン」としか記載がない見積書よりは親切ですが、使用する塗料がハッキリとしていると施工に安心感がわきます。
付帯部は、外壁や屋根よりも劣化が早いため、付帯部の塗装を怠ると美観が損なわれます。そのため、もし使用する塗料がハッキリとしない場合は、業者に塗料名を聞いて見ましょう。塗料名が分かることで塗料の耐久年数や性能を調べることができ、結果的に建物を長持ちさせることができます。
通知書を作成したら3枚にコピーしましょう。郵送用1枚と謄本2枚を用意しておくことで、いざというときの証拠になります。また、コピーした際は、3枚すべてに捺印しなければなりません。
項目 | 数量 | 単位 | 備考 | 単価 | 金額 |
▼仮設工事 | |||||
足場 | 250 | ㎡ | ビケ足場 | 600 | 150,000 |
養生ネット | 250 | ㎡ | ビニール養生含む | 150 | 37,500 |
高圧洗浄 | 300 | ㎡ | 3年~5年 | 150 | 45,000 |
▼外壁塗装 缶数表示:下塗り2缶、中上塗り2.5缶 | |||||
下塗り | 160 | ㎡ | 塗料名(メーカー名) | 500 | 80,000 |
中塗り | 160 | ㎡ | 塗料名(メーカー名) | 900 | 144,000 |
上塗り | 160 | ㎡ | 塗料名(メーカー名) | 900 | 144,000 |
▼シーリング工事 使用シーリング材:シーリング材名(メーカー名) | |||||
既存目地 | 115 | m | 打ち替え | 900 | 113,500 |
サッシ廻り | 30 | m | 増し打ち | 600 | 18,000 |
▼屋根塗装 缶数表示:下塗り1缶、中上塗り2缶 | |||||
棟板金釘打ち、処理 | 0.5 | 人工 | 18,000 | 9,000 | |
タスペーサー | 70 | ㎡ | ダブル工法 | 200 | 14,000 |
下塗り | 70 | ㎡ | 塗料名(メーカー名) | 500 | 35,000 |
中塗り | 70 | ㎡ | 塗料名(メーカー名) | 1,400 | 98,000 |
上塗り | 70 | ㎡ | 塗料名(メーカー名) | 1,400 | 98,000 |
▼付帯部塗装 付帯部塗料:塗料名(メーカー名) さび止め塗料:塗料名(メーカー名) | |||||
破風板 | 40 | m | 下塗り後、○○系塗料2回塗り | 800 | 32,000 |
雨戸、戸袋 | 8 | 枚 | サビ止め後、○○系塗料2回塗り | 2,000 | 16,000 |
換気フード | 1 | 箇所 | サビ止め後、○○系塗料2回塗り | 1,600 | 1,600 |
水切り | 30 | m | サビ止め後、○○系塗料2回塗り | 400 | 12,000 |
霧除板金 | 4 | 箇所 | サビ止め後、○○系塗料2回塗り | 2,300 | 9,200 |
雨樋 | 60 | m | ケレン後、○○系塗料2回塗り | 700 | 42,000 |
軒天 | 20 | ㎡ | 防藻、防カビ塗料2回塗り | 1,100 | 22,000 |
▼その他 | |||||
諸経費 | 1 | 式 | 運搬、駐車経費及び現場管理費 | 5% | 56,040 |
小計 | 1,176,840 | ||||
消費税 | 94,147 | ||||
合計 | 1,270,987 |