■目次
・サイディング
-窯業系サイディング
-木質系サイディング
-金属系サイディング
-樹脂系サイディング
-サイディングを塗装する際の注意点
・コンクリート
-ALC(軽量気泡コンクリート)
-RC(鉄筋コンクリート)
・RC(鉄筋コンクリート)
・モルタル
-リシン吹き付け、リシン掻き落とし
-スタッコ
-吹付タイル
-ジョリパット
-モルタルを塗装する際の注意点
・金属製の外壁(ガルバリウム、アルミ、ステンレス)
・漆喰
・タイル
・レンガ
・使用する塗料が、外壁に使用できるかどうか調べる
外壁材には、サイディング、コンクリート、モルタルなどがあり、その中でも様々なタイプがあります。ここでは、外壁材の種類の説明をします。
サイディングとは、パネル状の外壁材のことです。建物の骨格にあわせて張り付けます。現在7割近くの割合で戸建ての外壁材として流通しています。
サイディングには、主に4つの種類があり、窯業系、木質系、金属系、樹脂系があります。
■特徴と見た目
セメントと繊維質などを材料にしてパネル状に形成したものです。地震に強く、耐火性能に優れています。タイル調、石柄、木目調などデザインのバリエーションが豊富です。外壁の特徴として、サイディングとサイディングのある繋ぎ目にある目地部分(コーキング)があげられます。
■おこりうる劣化の種類
チョーキング、サイディングボードのひび割れや反り、爆裂、色あせ、藻やカビの発生
■特徴と見た目
天然の木材を使用した外壁材です。表面に塗装を行う場合と形成後のそのままの状態を利用する場合があります。あまり日本では見かけることは少なく、見かけたとしても外壁の1部分だけに使用しているだけの場合が多くあります。外観は、木材そのままの見た目です。但し、木の風合いは素材ごとにそれぞれ異なるので、同じ見た目のものはありません。
■おこりうる劣化の種類
藻やカビの発生、朽ちる、色あせ、チョーキング
■特徴と見た目
その名の通り、金属で形成されているサイディングです。断熱性や防音性に優れています。ひび割れすることがないため耐久性は高いですが、金属なので錆が発生します。そのため、10年に一度の定期的な塗装が必要になります。金属サイディングの中にも、アルミニウム製やステンレス製、ガルバリウム鋼板など素材が異なります。
外観は、すぐにわかるような金属のものもありますが、窯業サイディングと同じく石柄があります。そのため、一見どっちのサイディングか判断がつきにくいですが、触ったり軽く叩いたりしてみると金属特有の音がします。トタンと雰囲気や見た目が似ているため、人によっては安っぽいと印象づけられることがあります。
■おこりうる劣化の種類
サビ、チョーキング、へこみ、腐食
■特徴と見た目
塩化ビニル樹脂を使用した外壁材です。木質系と同じく、あまり見かけることがない外壁材ですが、北海道などの寒冷地で主に使用されています。素材自体に色が練りこまれているので、色あせや変色がしにくく、目地がないのが特徴です。また、万が一破損しても、破損した部分だけを取り換えることができるので長期的にみてランニングコストは安くなります。
材質はプラスチックに近い感じで弾力性もあるのでソフトな素材感があります。カーテンのブラインドのような波型のような外観が多いです。
■おこりうる劣化の種類
紫外線の影響で弾力性の減少。
直貼りサイディングとは、建物の躯体部分とサイディング材の間に隙間を設けずに施工されたサイディングのことです。
この隙間は、湿気や空気の通り道になっています。そのため、隙間がない直貼りサイディングは、湿気や熱がたまりやすくなってしまいます。湿気や熱がたまると、塗装しても外に熱を放出することができなくなり、躯体部分が腐食したり防水シートにカビが生えたりと、建物の寿命を減らしてしまいます。そのため、直貼りサイディングかどうか業者にしっかりと確認してもらいましょう。
弾性塗料とは、塗膜が伸びる塗料のことです。サイディングになぜ弾性塗料が塗装できないのかというと、サイディングは熱を溜めやすい性質をもっているためです。
熱がたまったサイディングは、熱を外に放出しようとします。その際、弾性塗料を塗装していると、蒸発した熱が塗膜内部に溜ってしまい、結果塗膜が膨れてしまいます。そのため、サイディングに弾性塗料や微弾性フィラーなどを使用することはありません。
■特徴と見た目
鉄筋が埋め込まれた工場で成型されるコンクリート外壁です。非常に軽く、断熱性、遮熱性が優れています。但し、吸水性も高いため湿気の影響を受けやすいデメリットもあります。そのため、塗装することで防水性を高める必要があります。
見た目は、平坦なコンクリートのような見た目から、窯業サイディングと同じようなタイル調や石柄、打ちっぱなしコンクリート柄があります。また、窯業サイディングと同じく外壁の間に目地があるため、素人目での判断は難しいです。幅や長さが異なりますが、実際に業者に確認してもらうのをオススメします。
一般的な窯業サイディングとALCの規格
使いやすさ | 幅 | 高さ |
窯業サイディング | 455mm(45.5cm) | 3030 mm(303cm) |
ALC | 600mm(60cm) | 1800mm~2000mm(180cm~200cm) |
■おこりうる劣化の種類
クラック、爆裂、欠損、チョーキング、コケ、カビ、シーリングの劣化、雨染み・雨だれ跡
■特徴と見た目
現場で骨組みとなる型枠を作り、コンクリートを流して成型する外壁材です。防音性は高いですが、ALCと違い熱伝導率がよく、外気温に左右されやすいのが特徴です。撥水剤を塗装する仕上げと、塗料を吹き付けリシンや吹付タイル仕上げにすることが可能です。また、塗装などの工程を省いた、「打ちっぱなし」と呼ばれる仕上げもあります。
様々な仕上げ方法が対応できる外壁材であり、窯業サイディングやALCと同じく目地があるため、素人目には簡単に判断することは難しいです。また、但し、打ちっぱなしの仕上げは、表面に500円玉ほどの丸いくぼみが一定の間隔であるのが特徴です。また、外壁が綺麗な曲線を描いている建物はこの外壁材で施工しています。
■おこりうる劣化の種類
クラック、爆裂、欠損、チョーキング、コケ、カビ、シーリングの劣化、雨染み・雨だれ跡
コンクリートはアルカリ性を持っています。アルカリ性があることで、コンクリート内部の鉄筋の腐食を防いでくれます。ですが、アルカリ性は経年劣化により外に溶け出してしまうため、鉄筋は腐食してしまい爆裂やひび割れなどの劣化が発生します。また、コンクリートに対応していない塗料で塗装すると化学反応を起こしてしまい、結果アルカリ性が損なわれてしまいます。 そのため、コンクリートを塗装する際は、コンクリート専用の耐アルカリ性の塗料を使用します。
主なコンクリート用塗料例
塗料名 | 塗料メーカー |
ロックガード | ロックペイント |
水性シリコン浸透ガード | 日本ペイント |
アクアシール200S | 日本ペイント |
シランコート | 菊水化学工業 |
アクアトップ | 大同塗料株式会社 |
SKカラークリヤー | SK化研 |
コンクリートガード1000 | 関西ペイント |
モルタルとは、セメントに水と砂を混ぜた素材の事です。ラスという金属製の網を型にし、そこにモルタルを塗りつけ、最後に仕上げとして塗装します。モルタルの成型は左官工事になるため、現在ではあまり流通しておらず、築20年以上経つ建物によくみられる外壁です。耐火性能が高く、耐震性も優れているため建物が倒壊しにくい特徴がありますが、クラックも発生しやすい外壁です。 劣化現象は、どの種類でも同じで、カビ、コケ、ひび割れ、剥がれ、チョーキングなどが出てきます。
モルタル外壁の塗装は、仕上げの方法によって見た目が異なります。主な仕上げ方法は、スタッコ、ジョリパット、吹付タイル、リシンの4種類です。 但し、下記の仕上げ方法は、サイディングやRCなどの外壁材にも施工できる仕上げです。そのため、仕上げだけを見てモルタルと判断するのは困難です。
■特徴と見た目
リシンガンと呼ばれる機械に塗料を入れ、外壁に塗料を吹き付ける仕上げ方法です。細かい石と塗料を同時に吹き付けるため、表面がザラザラとしていてよく見ると細かな石が確認できます。施工が簡単なため、施工金額も安いです。 リシン掻き落としは、吹付後のリシンが硬化する前に剣山やブラシなどで表面をかき落とす仕上げです。掻き落とし作業は全て職人の手作業になるため、施工金額も高くなります。これらは全て艶なしの仕上がりになります。
■特徴と見た目
リシンのような塗材を厚く吹き付けた仕上げ方法です。リシンよりもくっきりと凹凸部分が確認できます。塗料が硬化する前にローラーで凸部分を潰すように転がすことで、立体感が出るヘッドカット仕上げにもすることができます。触るとガサガサしているのが特徴です。
■特徴と見た目
別名「ボンタイル」や「玉吹き仕上げ」とも呼ばれます。スタッコと同じく、凸部分にローラーあて転がすことで凸部分の頭を潰し、平らにしたヘッドカット仕上げもあります。艶があるため、他の仕上げよりも表面がツルツルしています。
■特徴と見た目
内装にも塗装できるため、人体に影響を及ぼすことがない健康に配慮された塗料です。耐久性のも高く、塗膜に柔軟性がありひび割れが起こりにくい特徴があります。また、仕上げ方法も、吹き付け、ローラー、コテと柔軟に対応できるため、さまざまなデザインが再現できます。
モルタルとは、セメントに水と砂を混ぜた素材の事です。ラスという金属製の網を型にし、そこにモルタルを塗りつけ、最後に仕上げとして塗装します。モルタルの成型は左官工事になるため、現在ではあまり流通しておらず、築20年以上経つ建物によくみられる外壁です。耐火性能が高く、耐震性も優れているため建物が倒壊しにくい特徴がありますが、クラックも発生しやすい外壁です。 劣化現象は、どの種類でも同じで、カビ、コケ、ひび割れ、剥がれ、チョーキングなどが出てきます。
塗料をスプレーで吹き付ける場合は、適正な距離から吹き付けを行わないと色ムラが発生してしまいます。
モルタル外壁は塗料の吸い込みが多い外壁材です。そのため、塗装する際は下塗り材が外壁に浸透するまで塗装する必要があります。外壁の状態に場合によっては、2回以上の下塗りが必要です。
一般的に外壁塗装は、気温が5度以下、もしくは湿度が85%以上の日は塗装作業は行いません。特に、モルタルは湿気や外気の影響を受けやすく収縮しやすいため、そのような日に施工をおこなってしまうと施工後早い段階でクラックが発生してしまう可能性があります。
ガルバリウムやアルミ、ステンレスなどの金属製の外装材は、一般的にメンテナンスフリーと呼ばれているため塗装の必要がないと思われていますが、塗装をすることで、劣化を抑えたり美観を保持することができるので塗装することをオススメします。
錆の発生、チョーキング
金属製の外装材がメンテナンスフリーと言われる所以として、錆が発生しないことが理由として挙げられています。ですが、正確には錆が発生しづらいだけであり、立地条件や経年劣化によって錆は発生します。
錆が発生している場合は、塗装を検討することをオススメします。放置していると腐食が進んでしまい、塗装ではなく大掛かりなリフォームが必要になる可能性があります。また、錆は美観を大きく損なうため、美観を保つためにも塗装による保護が必要になります。
■錆の色
ガルバニウム、トタン:赤茶色、こげ茶色
アルミニウム:白っぽい色
上記のような錆が見受けられる場合は、一度業者に見てもらうことをオススメします。
※ステンレスの錆について
ステンレスは基本的に錆ることはありません。但し、錆が発生する金属製の物が近くにある場合はもらい錆といって、錆がステンレスに移ったりします。また、沿岸地帯では、塩害により錆が発生することがあります。
金属製の外装材は、塗装する際に塗料の付着をよくするためケレン作業を行います。窯業系サイディングやスレート屋根と比べると作業工程が1つ増えるため、施工金額は高くなる可能性があります。
漆喰は、塗り壁と呼ばれ、左官職人がコテを用いて施工した壁です。アルカリ性が強く細菌が発生しにくいことから、内装にも使用されています。また、漆喰は、二酸化炭素を吸収して硬化する性質をもっているため、年月が経つ毎に丈夫になり、漆喰自体の耐久年数は約100年とも言われています。
上記の説明を読むとメンテナンスの必要はないように思えますが、年月が経つと漆喰のアルカリ性が失われていき、カビやコケが発生してしまいます。そのため、アルカリ性を復活させるために定期的なメンテナンスが必要になります。
ひび割れ、欠損、カビや藻の発生
メンテナンスの方法は、漆喰に対応している塗料で塗装するか、左官職人が新たに漆喰を塗るかの2通りの施方法があります。どちらも「漆喰を塗る」という表現を用いるので、業者に依頼する際は伝え方に注意しましょう。
通常の塗料で塗装してしまうと、1~2年で塗膜が剥がれてきてしまうため、下記のような漆喰に塗装できる塗料を使用します。
塗料名 | 塗料メーカー | 平米(㎡)単価 |
アスレシックイ | 関西ペイント | 4,500円 |
水性ケンエース | 日本ペイント | 1,650円~1,800円 |
アクアトップSEPホワイト | 大同塗料株式会社 | 4,150円 |
施工単価は、6,000~10,000円/㎡です。
※仕上げ方法や材料費などで金額が上下するので、あくまでも概算金額です。
紫外線に強く、傷もつきにくい外壁材です。耐久年数は30年以上あると言われています。メンテナンスフリーと呼ばれていますが、定期的な補修が必要になります。
タイルは、湿式工法と乾式工法のどちらかで壁に張り付けられています。湿式工法は、モルタルを接着剤として貼り付けます。乾式工法は、ベースサイディングとよばれる外壁に、専用の接着剤を使用してタイルを張り付けます。
どちらの工法も、経年劣化により接着剤の吸着力は弱まり、最悪の場合落下してしまう危険性があります。また、弱まった接着部分から水が浸入し、被害を拡大させてしまう可能性もあります。そのため、タイルの浮きやズレなどがあれば補修が必要になります。
ひび割れ、タイルの剥がれ、コケや藻の発生、目地劣化
タイルやレンガは、基本的に塗装の必要はありませんが、表面に汚れを付着しにくくしたり、また目地部分などの防水性を高めたい場合は塗装します。
タイルと同じく紫外線に強く、変色しにくい外壁材です。表面は年月が経つと劣化しますが、それが味わい深い風合いになるので塗装しないことが多いです。耐久年数は100年ほどで、外壁材の中では一番長いです。
メンテナンスフリーと呼ばれていますが、接着部分のモルタル材が劣化するので、タイルと同じく定期的な補修が必要になります。
ひび割れ、コケや藻の発生、目地劣化
タイルやレンガは、基本的に塗装の必要はありませんが、表面に汚れを付着しにくくしたり、また目地部分などの防水性を高めたい場合は塗装します。
塗料名 | 塗料メーカー | 平米(㎡)単価 |
浸透性撥水剤 | ロックペイント | 1,500円 |
ダイヤハイセラガード | ダイフレックス | 2,800円~3,000円 |
水性エクセラ | 関西ペイント | 1,100円 |
アクアシール50E、200S | 大同塗料 | 1,700円 |
業者が提案している塗料が、外壁に使用できるか調べる方法は、下記の通りです。
・使用する塗料のカタログやパンフレットをみる。
・塗料メーカーに直接問い合わせる。
・塗料メーカーのホームページから調べる。
例:パーフェクトトップ(日本ペイント)のカタログ
例:パーフェクトトップ(日本ペイント)のページ
(https://www.nipponpaint.co.jp/biz1/building/products/prd_213.html)