HOME > 外壁材・屋根材の特徴 > 屋根材の種類と劣化症状

■目次
スレート
 -化粧スレート(カラーベスト、コロニアル)
 -天然スレート
 -スレートを塗装するときの注意点


 -セメント瓦(厚型スレート)
 -コンクリート瓦(モニエル瓦)
 -日本瓦
 -瓦を塗装する際の注意点

その他の屋根材
 -銅板
 -アスファルトシングル
 -金属瓦

屋根材の種類を判別することはできる?
 -地域から判別する

屋根材の種類

屋根材には、スレート、瓦などがあり、その中でも様々なタイプがあります。ここでは、屋根材の種類の説明をします。

スレート

スレート屋根には、化粧スレートと天然スレートがあります。一般住宅のほとんどは化粧スレートが使用されています。

化粧スレート(カラーベスト、コロニアル)

■特徴
セメントと繊維材料で形成された屋根材です。カラーバリエーションが豊富で値段も安価なため、普及率が高い屋根材です。カラーベストやコロニアルと呼ばれる屋根は、化粧スレートの商品名になります。

形は、波型と平型があります。平型は文字通り平らな形状をしています。主に使用されている化粧スレートはこのタイプです。波型は、瓦のように広い間隔で波があるタイプから、細かい間隔で波があるタイプの2通りあります。

■アスベストについて
現在販売されているスレート屋根にはアスベストは含まれていません。但し、2004年(平成16年)よりアスベストを含む製品の出荷が禁止になったので、それ以前に建てられた建物の屋根にはアスベストが含まれている可能性はあります。ですが、アスベストの飛散は、屋根材の撤去時に起こることなので、塗装工事での被害はありません。

■おこりうる劣化の種類
色あせ、チョーキング、ひび割れ、コケや藻の発生、欠損

天然スレート

■特徴
天然の石(粘板岩)を加工した屋根材です。そのため、色や形は完全に同じものはなく、ユニーク性の高い屋根材です。曲線を描く屋根にも対応でき高級感がある見た目になります。身近な建物では、国会議事堂や東京駅の屋根に使用されています。

天然スレートは国内での生産率が低いため、主に海外からの輸入によって入手しています。流通経路に限りがあるため、非常に高価な屋根材です。そのため、一般住宅ではあまり使用されていません。

■おこりうる劣化の種類
色あせ、チョーキング、ひび割れ、コケや藻の発生、欠損

屋根を塗装するときの注意点

屋根材の中には、素材自体の構造に欠陥があり、塗装をしても割れてしまったり、すぐに塗装が剥がれてしまうものがあります。そのため、これらの屋根材は基本的に塗装をせず、新しい屋根材と交換する葺き替えを行います。

塗装できない屋根材の例

屋根材名 販売メーカー
パミール ニチハ
レサス ケイミュー(旧:松下電工)
シルバス 松下電工(旧:松下電工)
アーバニー 積水化学工業
コロニアルNEO クボタ(旧:松下電工)

縁切りが含まれている確認する
スレート屋根を塗装する場合は、縁切りという作業が含まれます。縁切りとは、屋根材と屋根材にある隙間が塗料で塞がってしまわないようにする作業です。隙間が埋まってしまうと、屋根内部に溜まった湿気や水分が外に抜け出せなくなるため、屋根材を痛めてしまい、雨漏りする恐れがあります。そのため、縁切りが作業工程に含まれているのか、契約前に業者に確認をしましょう。

瓦(かわら)

瓦には、セメント瓦とコンクリート瓦、日本瓦に分けられます。この中で、塗装をしなくてもいい屋根材は日本瓦だけです。

セメント瓦(厚型スレート)

■特徴
セメントを使用した屋根材です。化粧スレートよりも厚みがあるため、厚型スレートとも呼ばれます。日本瓦と同程度の遮音性や断熱性、耐火性を持っています。現在では、あまり流通していない屋根材になります。

■おこりうる劣化の種類
色あせ、チョーキング、塗膜剥離、コケや藻の発生、欠損、表面のざらつき

■セメント瓦に使用できる塗料例

塗料名 塗料メーカー
SUN瓦シリーズ エーエスペイント株式会社
ニューマイルド優雅 オリエンタル塗料工業
アクアシリコン 大同塗料
水系ハイルーフシリコン 大同塗料
水性シリコン 水谷ペイント

コンクリート瓦(モニエル瓦)

■特徴
セメント瓦と同じ原料を使用していますが、セメントの量が少ないのが特徴です。見た目は、間近で見なければわかりませんが、屋根材の下を向いている部分(小口)が凸凹しているのが特徴です。反対にセメント瓦の小口は、滑らかな形状をしています。

塗装する際は、瓦表面にあるスラリー層という着色層を綺麗に取り除く必要があるため、高圧洗浄やケレン作業など入念な下地処理が必要です。

■おこりうる劣化の種類
色あせ、チョーキング、塗膜剥離、コケや藻の発生、欠損、表面のざらつき

■コンクリート瓦(モニエル瓦)に使用できる塗料例

塗料名 塗料メーカー
SUN瓦シリーズ エーエスペイント株式会社
マイティーシリコン オリエンタル塗料工業
マイティールーフ オリエンタル塗料工業
マイルドシリコン 大同塗料
水性シリコン 水谷ペイント

日本瓦

■特徴
日本瓦は、基本的に塗装の必要がない屋根材です。塗装をする目的は、塗装で形成される塗膜で塗装物を保護することで、塗装物自体の寿命の速度を遅らせるためです。日本瓦の寿命は50年以上持つと言われているため、基本的に塗膜で保護をしなくても問題はありません。そのため、塗装の必要はありません。

日本瓦は、釉薬瓦(ゆうやくがわら)と無釉薬瓦に分けられます。釉薬瓦は、瓦を焼き上げる際に釉薬と呼ばれるものを塗ることで、表面に光沢がつき、水を弾く撥水機能を持たせた瓦です。青や赤など色のバリエーションが豊富です。無釉薬瓦は、釉薬を塗らずに焼いた瓦です。撥水機能や光沢はありませんが、渋い銀色や土そのままの色が出せるため、日本瓦らしい見た目が特徴です。

■おこりうる劣化の種類
色あせ、ひび割れ、コケや藻の発生

■日本瓦に使用できる塗料例

塗料名 塗料メーカー
マイルドいぶし オリエンタル塗料工業
トウキマイルド オリエンタル塗料工業
いぶしコート 大同塗料

瓦を塗装する際の注意点

■業者の判断が正しいか確認するために相見積もりを取る
これら3種類の瓦は、素人目にはどの瓦か見た目だけでは判断がつきません。そのため、1社だけの見積もりでは、業者側が提示している屋根材の塗料が正しいのかどうか判断することは難しいです。「実際はモニエル瓦だったのに、セメント瓦と判断していた。」という事例もあります。

当たり前のことですが、使用する塗料は塗面の素材に適した塗料でなければなりません。そのため、1社だけの見積もりだけで判断するのではなく、2社~3社ほどから相見積もりをとって屋根の種類を業者に判断してもらうのをオススメします。

また、使用する塗料がその瓦に使用できるかは、塗料メーカーのホームページや塗料のパンフレットを見て確認しましょう。

その他の屋根材

銅板

■特徴
主にお寺や神社の屋根に使用されている屋根材です。金属屋根と同じで経年劣化により錆が発生しますが、銅板に発生するサビは、「緑青」とよばれるもので。銅内部の腐食を防ぐ役割があります。この緑青こそが銅板の魅力とされているので、一般的にサビの撤去はしません。また、銅板は塗装してもすぐに剥がれやすい材質のため、基本的に銅板のサビの撤去や塗装はしません。

■おこりうる劣化の種類 (チタン以外)
サビ(緑青)の発生、コケや藻の発生、腐食

アスファルトシングル

■特徴
厚手のフェルト生地のような柔らかい屋根材です。カッターやハサミなどで簡単に加工でき、表面には小さな石が散りばめられているため意匠性に優れています。遠目から見ると普通の化粧スレートのような見た目ですが、柔軟性があるので曲げることができ、曲面のある屋根に対応できます。アメリカでは8割近いシェアを誇っていて100年以上の歴史があります。

アスファルトシングルの塗装では、タスペーサーを使用することはできないので、上塗り後に職人がスクレーパーなどで縁切り作業をおこないます。

■おこりうる劣化の種類
色あせ、チョーキング、コケや藻の発生、ひび割れ、反りや捲れ

金属瓦

■特徴
金属を瓦の形に成型した屋根材です。ガルバリウム鋼板やチタンを使用した物があります。ガルバリウム鋼板は錆びにくい性質を持っていますが、定期的な塗装が必要になります。チタン製の瓦は、サビや腐食に強く半永久的に使用できるのが特徴です。有名なところでは、浅草寺の本堂と五重塔、宝蔵門にチタン瓦が使用されています。

■おこりうる劣化の種類
サビ、チョーキング、コケや藻の発生

屋根材の種類を判別することはできる?

施主様が屋根材の種類を判別すること非常に困難です。

屋根材の種類を確認するためには、間近で屋根材を見たり触ったりすることができれば判断することが可能かもしれません。ですが、施主様は屋根に近づけるほどの脚立や梯子を所持していないことがほとんどです。また、実際に梯子や脚立などを利用しても、足場が不安定なため、慣れていないと落下する恐れがあるため危険です。

地上から屋根を見るにしても、見える範囲に限度があります。また、屋根材の形も、瓦型のスレート屋根や金属製の瓦など形や見た目が似たものもあれば、モニエル瓦とセメント瓦のような間近で見なければわからないような違いがあります。

業者によっては、地上から見ただけである程度の屋根材の種類を判別することができますが、それは培った経験と知識があってできることです。そのため、屋根材の種類を判別する方法は、見積もりをとる際に業者に見てもらう必要があります。

地域から判別する

大まかな判別にはなりますが、お住いの地域により屋根材を判別することができることがあります。

■降雪地帯
雪が多く降る北海道や東北地方などの降雪地帯は、吸水率が低いトタンやガルバリウムなど、金属製の屋根材が主に使用されています。金属屋根は、密閉性が高く、水が入り込みにくい構造になっているため、水が屋根材内部で凍結せず屋根材を痛めません。反対に、日本瓦やコンクリート瓦など、吸水性が高い屋根材はあまり使用されていません。但し、日本瓦のなかでも釉薬瓦は、吸水率が低く屋根に雪が積もりにくいため使用されていることがあります。

■気温が高い地域

気温が高い地域では、断熱効果の高い日本瓦や熱伝導率の低いスレート屋根が使用されます。反対に、金属屋根は熱伝導率が高いのであまり使用されません。

■沿岸地帯
沿岸地帯は、石州瓦と呼ばれる日本瓦の使用率が高いです。この瓦は、浜風による塩害被害に強く、吸水性も低いため使用されています。反対に、金属性の屋根は塩害によりサビが発生しやすくなるであまり使用されることはありません。

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